シルクロードの面影が残る街や遺跡を訪れたいと思っていて、中国の新疆ウイグル自治区を旅行したのが2005年。行き先の中でシルクロードの雰囲気が最も残っていたのは、バザール(市場)でした。
バザールで会ったパキスタンの商人には、シルクロードの商人を体現するかのようなオーラがあって、彼は、国境などないかのようにウイグル自治区とその周辺の国を旅しながら商いをする暮らしについて、楽しそうに話をしてくれました。
活き活きとした雰囲気があふれるバザールを歩いていると、シルクロードは古のことではなくて、今日も違う形で残っているような気がしました。この記事では、そんなウイグルで訪れたバザールの様子を紹介します。
絶対おすすめ、カシュガルとヤルカンドのバザール
バザールは、地元の人たちの生活を垣間見ることができる場所。ウイグル旅行中には、訪れたすべての街のバザールに行きました。どのバザールも、見どころがたくさん。どのバザールでも初めて見る商品が必ずあって、お店の人や地元の人たちとのちょっとしたやりとりが楽しくて、あっという間に時間がたちます。
特におすすめなのは、カシュガルとヤルカンドのバザール。1日では回りきれないほど広い敷地に、たくさんのお店が出ます。カシュガルは日曜日、ヤルカンドでは土曜日と日曜日に規模が大きくなります。例えば、家畜マーケットを見たいなら、週末に重なるように旅程を組むのがマスト。
まずは、生鮮食品のエリア。新鮮な野菜や肉をめぐる商人と買い物客の喧騒でいっぱい。
ウイグルの大きな街のバザールでは、いろんな民族の人が集まります。ウイグル族、回族(ホウェイ族)、タジク族、ウズベク族、カザフ族、キルギス族などの商人が、それぞれの商品を持ち込んで商いをしています。
朝早くから賑わうのは生鮮食品のエリア。新鮮な野菜を求める買い物客と、いい値で売りたい商人の喧騒でいっぱい。
お父さんがお客さんの相手をしている間、ロバの手綱をしっかりと握っているいい子。ロバが、事情を理解しているかのように、優しい顔で寄り添っているのも愛らしい!
買い物客が商人を相手に値段交渉中。
ラム肉専門の肉屋は、併設の屋台で料理も出していて、食事時には大忙し。
骨も内臓も無駄にしません。骨はスープの出しに使われるそうです。
週末の家畜マーケット
多くのバザールでは、家畜マーケットは週末だけ開かれます。たいていバザールの端のどこかに開かれるのですが、家畜がたくさんいる上に、ニオイがすごいので場所はすぐに分かります。主に、鶏、鴨、羊やロバや牛や馬、子猫や子犬などのペットまでやりとりされてます。
家畜マーケットの交渉はハードなのか、ここの人たちのジェスチャーは他よりも大きくて、声は荒っぽく聞こえました。
子猫と子犬のエリアは、ミャーミャー、キャンキャン、元気な声でいっぱい。このエリアの人たちの声は、心なしか優しく聞こえます。
自転車かごの中に、お買い上げの鶏。
びっくりな商品もたくさん
さすが、なんでもある(というイメージの)中国。びっくりな商品がたくさんあります。こちらは、乾燥した蛇。漢方的な何かに使われるんですかね。容器ごとにサイズがそろっているところからすると、きっと養殖です。蛇の養殖。想像しただけですごい!
バザールの一角に「男性だけ」が群がるエリア。商品を凝視している彼らが放つオーラがすごくて、思わず人込みの中に入っていくと、、、
売られているのは生きているサソリでした!店のオーナーはこのサソリのすばらしさを力説しながら、手元では生きているサソリからエキスを取り出していました。話していることはわかりませんが、これはバイアグラ的なものに違いない!
オーナーは、最前列にいる私を見つけると、ここはお前の場所じゃない!向こうに行け!!とすごんだ表情で迫ってきたので、素直に退散。
バザールを散策中にお腹がすいたら、屋台へ!
バザールの屋台は、エネルギーチャージをする商人と買い物客で一日中大忙し。バザールで調達された新鮮な材料で料理された、ラグー麵、ケバブ、ピラフ、ポロといったウイグルのお馴染みの郷土料理はもちろんのこと、街のレストランでは見つけられないかもしれないマイナーなローカル料理もあります。
こちらは、羊の内臓の煮込みを出す屋台。
暑くて乾燥しているウイグルでは、日中のこまめな水分補給がマスト。バザールでは、小腹を満たしつつ喉を潤す、水分たっぷりの野菜や果物が人気です。私が旅行した9月後半は、スイカ、キュウリやカボチャが旬だったようでした。
こちらは、蒸しカボチャを出す屋台。蒸したてのカボチャがお店に並ぶ度に、一瞬で売り切れるほどの人気。カボチャで水分補給?って思いましたが、これがびっくりするほどみずみずしくて甘いカボチャで、大人気なのが頷けました。
ウイグルで病みつきになった果物が、イチジク。甘酸っぱくて、めちゃめちゃジューシー。
イチジク屋さんでは、たいていイチジクが籠にきれいに積まれていて、その中から美味しそうなものを自分で選んで買うのがウイグル流。バザールを散策中に喉が渇いたら、イチジク屋さんを探して、現地の人たちに混じって美味しそうなのを数個選んでお買い上げするというのがお決まりになりました。
バザールでは、モノを買うだけじゃない。生活に必要なコトもすませられます。
バザールの一角には、ちょっとした時間の隙間に髭の手入れをするコーナーもあります。写真のおじさんは、髭のかたちを細かく注文。髭を整えてもらった後は、私にデジタル・カメラで写真を撮らせて、出来上がりをチェックするというくらいのこだわりようでした。
家畜たちのメインテナンスをする場所もあります。こちらでは、ロバの蹄の交換中。
文字通り「シルクロード」を彷彿とさせるお店
布や洋服が売られているエリアでは、文字通り「シルク・ロード」を連想させるような景色が広がります。布地のお店には、色鮮やかな布がたくさん並んでいます。お店の人は、買い手が納得する布地が見つかるまで、いくつもいくつも布地を広げ続けます。
DIYのお店。
以上、新疆ウイグルのバザールのハイライトでした。これからバザールがしても、どこかにシルクロードの雰囲気が残っていますように。