ヒヴァ(イチャン・カラ)は、ウズベキスタンの首都タシュケントから900kmも離れた小さな街。ウズベキスタンの他の見所(サマルカンドやブハラ)からも遠いので、旅程に入れかねる人も多いんじゃないでしょうか。私も同じように思ってました。でも、実際この街は本当に素敵でした!美しい見所がたくさんあるだけでなくて、よく保存&改修されていて、歴史地区に興味があるなら行くべしな街です。さらに、人と街が観光地化されてなくて、散策していて気持ちがいい場所でした。
ヒヴァが、ウズベキスタンの観光地の中でも特別な理由
ヒヴァが他の歴史地区と違うのは、“ホントな感じ(authenticity)”なんじゃないかと思います。サマルカンドやブハラがチンギスハンの襲来(13世紀)の前に繁栄のピークを迎えたのに対して、ヒヴァが最も反映したのはそのずっと後の17世紀。そのため多くの建物が徹底的な破壊を経ないで今に至っていて、オリジナルの状態に近いか、改築された場合でも元々の意図をよく汲んで改築されたと想像します。それが街を歩いている時に感じる“ホント感”につながっているのかなと思いました。ガイドさんの説明も、事実関係がしっかりした話が多かったように思います。
旧市街散策のおすすめプラン
というわけで、この街ではガイドさんを雇うのがおススメ。午前中は、ガイドさんにハイライトに連れて行ってもらい、午後にはガイドさんなしで街を散策したり、お気に入りの場所でのんびり過ごします。もし余力があるなら、早朝の静かな時間にも街に行ってみてください。朝日に照らされた静かな街には別の美しさがあります。
私たちのガイドさんは、街の西門近くにあるカルタ・ミノル(写真上)から案内を始めました。この青と緑のタイルをふんだんに使った美しい模様のミナレットは、当初80mになるはずが未完成のまま放置されたので「短いミナレット」と呼ばれてます。その後、青と白のタイルの部屋が美しいクフナ・アルク宮殿とアラクリ・ハン・マドレセ(写真下)に立ち寄り、金曜モスクへ(写真下3つ目)。この多柱様式のモスクの内装は、この街では珍しくシンプルでモノトーンにまとまっていて、美しく彫刻された無垢の木の柱が280本並んでいます。
その後、イスラーム・ホジャ・メドレセとその隣のミナレットへ。この街がロシアに倣って近代化を遂げた19世紀の複合施設ですが、デザインは14世紀の建築様式に倣っているとのこと。街で一番高いミナレット(45m)の上からの景色は素晴らしいので、ぜひ登ってみてください。
イスラーム・ホジャ・メドレセのミナレットに登った後は、パフラヴァン・マフムド廟に立ち寄ってください。先ほどのミナレットから見下ろせたターコイズ色のドームも美しいですが、内部の装飾もとても美しいです。パフラヴァン・マフムドは13-14世紀に活躍した武将。今でも多くの人がお参りに来ていて、お祈りする人たちがこの施設の雰囲気を厳かにしています。
ガイドさんとのツアーの最後は、タシュ・ハウリ宮殿。個人的には、ここが最も美しいと思いました。美しい宮殿の最も美しい場所は、当時の王アラクリ・ハーンのハーレムだった庭。王の部屋と4人の正妻と150を超える妾の部屋がひとつの庭を囲む空間です。正妻の部屋は、三方が青と白を基調とした装飾の壁で、もう一方には彫刻された木が配置されています。それぞれの部屋は特に何かのパターンに従っているわけではなく、でもごちゃごちゃしているわけでもなく、きれいにまとまっていて本当に美しい。
ガイドさんのツアー後には、気が向くままに街を散策
ガイドさんのツアーが終わって、ランチの後は、気が向くままに街を散策。私たちは午前中に訪れた場所にもう一度行ってゆっくり見たり、カフェでのんびりしたり、民芸品のギャラリーを回りました。
城壁に沿って外を散策するのもおすすめです。
日の入りの前は、旦那さんはローカルな雰囲気のカフェでのんびり、私はタシュ・ハウリ宮殿にもう一度行って美しい部屋をのんびり眺めて過ごしました。
シルクロードの街の日の出と日の入り
ヒヴァの見所を周るには、もしかしたら1日もいらなくて、半日でもいいかもしれない。でも、日の出と日の入りの時間も含めて1日滞在するのがおすすめです。人が少なくて静かな街が、陽に照らされてとてもきれいです。
ところでヒヴァでは、ホレズム郷土料理を食べられます。こちらの記事でチェックしてみてください。
アクセス:宿の選択肢が多いウルゲンチからヒヴァ旧市街までは、車で1時間以内。でも、旧市街周辺にも宿がいくつかあり、そちらに泊まるのがおすすめ。それらの宿から旧市街までは徒歩で数分。日の出と日の入りの静かな時間に旧市街を散策することができます。
過ごす時間:見所を回るだけなら半日でも十分。のんびり散策する時間も含めて1日あるとなお◎。