ウズベキスタン旅行中に訪れた街の中で、ブハラは特にぶらぶら歩きが楽しい街でした。ブハラを一言でいうと、京都み。古いものと今のものが、いい感じで共存しています。
もう一つブハラと京都が似ているのは、建物や町並みの趣味がいいことです。ミニマリズムな美。華やかでシンプル。派手すぎず、エレガントで洗練された感じ。この街を支配してきた人々は、相当な富を持ちながら「ちょうどいい」という加減を知っていたんだろうと想像しました。
旧市街は徒歩で歩くのがオススメ
100以上の歴史建築物が残るブハラの旧市街は、半日から1日で歩いて回れる広さで、私たちはほとんどの見所を徒歩で周りました。もともとこの街では、モスクやマドラサなどの建物を見て回ろうと思っていたのですが、街歩きも楽しい場所でした。
タキ・サフラフォンにはお土産を売る店が並んでいますが、観光地化され過ぎた感じはなく、カフェでは観光客の隣で地元のおじちゃんたちがカードゲームをしてたりします。地元の人たちが食材を買い求めるデフコン・バザールに行くと、さらに生活臭が増して活気マックスでした。
ミニマリズムなデザイン
ウズベキスタンの他の街と比べて、ブハラの建物のデザインはミニマム。すべてが巨大で豪華絢爛なサマルカンドとは対極の、エレガントで洗練されていてシンプル。カラーン・モスクやカラーン・ミナレットがその代表。スタンダードなレイアウトは他の街のモスクやマドラサと同じですが、遠くから見た時に派手さがありません。だからといって単調ではなく、近くで見ると細部まで洗練された色使いとデザインが施されていることが分かります。
個人的に特に好きだったのは、アブドゥールアジス・ハン・マドラサ。入り口のペルシアスタイルのデザインが美しい。他の建物と比べて多くの色が使われているのに、全体としてうるさい感じがしないのです。好きすぎて、滞在中に何度も立ち寄りました。
他にブハラらしいミニマリズムな建物は、イスマイール・サーマーニ廟(写真下)とマゴキ・アッタリ・モスク。この街の初期の頃に建てられた建物で、単一の材料しか使われていないのですが、表面に施された素晴らしい幾何学模様のおかげで古い感じが全くありません。
タキ・テルパクフルシャン市場とタキ・サラフォン市場の間にあるマゴキ・アッタリ・モスクは、簡単に見落としそうになるくらいひっそりと建っているのですが、これもブハラらしいミニマリズムな外観なのでぜひ立ち寄ってください。建物の原型はゾロアスター教の時代にさかのぼるそうで、壁のデザインにはゾロアスター教とイスラム教それぞれの影響が見られます。
郊外にあるスィトライ・マヒ・ホサ宮殿も必見です。この宮殿が建てられたのは20世紀と最近で、明らかに近代ヨーロッパ建築の影響を受けています。この地域のもともとの建築スタイルといい感じに融合しています。日本の建物でいうと、明治や大正時代の西洋の影響を受けた石造りの建物のようでした。
多様なカルチャーが出会う街だからこそ生まれたリベラルなアート
最後に、どのガイドブックにも載っているブハラで最も有名な2つの建物。チョル・ミナルとナディール・ディヴァンベキ・メドレセです。この街のアーティストたちのリベラルなスタイルが如実に表れています。
チョル・ミナルは、4つのミナレットが特徴で、このようなスタイルの建物は他には見られないほどユニークなのだそうです。
ナディール・ディヴァンベキ・メドレセの正面には、羽の鳳凰が足で鹿をつかみ、人面相の太陽に向かって飛ぶ姿が描かれています。偶像崇拝を禁じるイスラム教義に反するため、建設当時でさえ物議を醸したそうですが、その美しさゆえに破壊されないで残っているのは、多くの民族の貿易商が集まるこの街が、いつの時代もリベラルだったことを体現しているようです。
アクセス:旧市街の中には規模は小さくてもきれいなブティック・ホテルが多くあって、旧市街内に泊まるとほぼすべての見所が徒歩圏内です。
過ごす時間:1-2日間